「…お前の『仕事』の後、よくメシ、食いに行ったよなぁ…」 「…行ったね」 「何年前だ?」 「……5年、くらい?……昔話だねぇ…」 イツキは佐野と目を合わせると、くすくすと笑う。 それはごく最近のことのようで、それでもやはり、昔の話で。 けれど忘れてしまうには、あまりに深く生々しい思い出だった。 「…佐野っち、…俺の面倒、良く見てくれたよね。…後…
月夜の猫-BL小説です 花を追い1 BL小説 東京の桜は昨日の雨でほぼ葉桜になった。 開花は早かったが、気温が低い日が続いたためゆっくりと満開になり、長く人の目を楽しませてくれた。 四月も半ば、花が終わると気温が急上昇し、今度は厄介な花粉の季節がやってきたのである。 ここ乃木坂にある青山プロダクションでも、毎年花
ワイドキングサイズのベッドに敷かれているシーツの色は、ミッドナイトブルー。白やアイボリーなどの淡く柔らかな色を好んで使うアルフレードが選んだものとしては珍しい。それも無地で、寝室に相応しい落ち着きはあるが、一見すると地味な印象を抱かせる。寝室の四方ある壁のひとつは全面ガラスで、2面は白い壁紙だがベッドの頭側の壁はチョコレート色に塗られている。そのためシーツを暗色にすると寝室全体が遊び心のない空間に...
「はい、拡張……、それはともかく術式は……」 具体的な説明をしようとしたら、個人的には悔しいが苦み走った整った顔にドロドロと青色の簾(すだれ)が下りていくようだった。 普段の祐樹ならもっと具体的かつ生々しく説明するところだ。 しかし、かの「一力(いちりき)亭
「……イツキ。本当にいいのか?」 「良いって言ってんじゃん。…佐野っち」 街の外れの昔からある古いホテルの前で、佐野はもう一度確認する。 酒を飲み過ぎた訳でも、特別に嫌な事があった訳でもなく、 普通にお互い同意の上で、この建物に入るというのは……実はなかなか新鮮で 佐野は、繋いだイツキの手をぎゅっと握り、植え込みの奥にある入り口へと向かった。 …
祐樹行きつけの、つまり救急救命室から最も近いコンビニは店員さんがバーコードだかを読み取る仕組みだった。 ちなみに、高校生まで過ごした実家だったら未だに値段を書いた小さなシールという店もある。 実家に帰る時は実の息子の祐樹よりも母に気に入られている最愛の
「私の手術の成否を心中深く案じた最愛の恋人は、呉先生に薬の処方をお願いしたのではありませんか?」 その一言で豪奢かつ居心地の良い客室の空気が凍り付いた。 最愛の人は端整な顔が青褪めていて、右の手を左手に重ねて白くしなやかな指がプラチナの指輪を御守りのよう
「私がそんなこと、言ったりしたりすると思うかい?」 ファインが何か言いかけるとナージフは苦笑しながらそっと頭を振っている。「まあ……確かにあなたはいい人だし頭もよさそうだし……」「はは
ニールにベッドに押し倒されると乗っかってきてキスをしてくる。「ふ」頭の中がとろけそうになるほどのキスだ。そのうち、ニールが離れていくのが分かる。「ニー」自分の肌にニールの唇が触れていく。強く吸われる時もあれば、優しく吸われる時もある。「あ・・・・・・」胸の尖りを舐められる。「ん」とても優しく舐めたり噛んでくる。こんなのは初めての経験なので、どうやってこんなテクを身に付けたのか分からなく、その思いを口にし...
(R15)です。当blogは18才未満の方は読んでいないはずですが、苦手な方、生理的に無理な方が読んでしまわないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを読む」を押すか、もしくは下にスクロールしてお読み下さい。-
アダルトなBL短編集。全五作、すべてR18です。「ある教師の卑猥な指し棒の使い方」授業中にふるわれる指し棒。つい目で追ってしまう理由が、まさかの使い方にあって・・・。「男が鳴かぬなら・・・」鳴かぬならなんとやら。ひたすら口をつぐむ男を、段階的に追いつめ、鳴かせ
1週間後、ニールは聞いてくる。「ネイサン、話がある」おそらく、この間の話だろう。1週間もあれば、こちらの気持ちも整理がついた。「ニール、この間の話か?」「うん。僕と家族になって一緒に暮らして欲しい。ネイサンを愛してる。離したくないんだ」少し間を置いて答える。「基本、私はマイペースな人間だ。自分のやりたいことしかしない。それでも良いのか?」「うん、良いよ」真剣な面持ちなんて初めて見た。だから、一生懸...
すごい1日になっちゃったね、と苦笑するアルフレードに淹れたてのミルクティーを差し出しながら、ハインリヒも肩を竦めた。「疲れただろう」「ハインもね、お疲れ様でした。さっきまで電話鳴りっぱなしだったけど、ひとまずは落ち着いたみたいだね」「あぁ、やっとだ。そろそろ叩き壊すところだった」「ホテルから病院に向かう前からすごかったもんね。あれってどこから情報が伝わるの?」事故のニュースの速報は出たかもしれない...
『過保護の花男くん』を最後までお付き合い頂き本当にありがとうございました―――!!毎日拍手やポチで応援して下さった方、本当にお疲れさまでした!!こんなに長くなる予定ではなく、気がついたら『片思いの曲がり角』を超えていました。笑のぞと咲はまだ中学を卒業したばかりなので……高校生編や大学生編まで、ちょっと成長した2人を書き続けていきたいなって思ってます。ご縁があれば、またお付き合い頂けるとうれしいです。入学...
望海今年は暖冬だと言われていたのが嘘のように、2月の終わりにドカ雪が降った。3月を迎えても、マフラーが手放せない日が続き……いつになったら春が来るのだろうと窓の外を眺めていたのに、2週目を迎えると急に春めいた。3週目の今日は校庭に並ぶ桜のつぼみが綻び、澄んだ青色をバックに満開の花を咲かせている。遠目で見るとピンク色のわたがしのようで、なんだかファンシーな夢の中にいる気分。受験が終わると気が抜けてしまっ...
■■ はじめに・・・ ■■ *当ブログは2人組で運営しております。*内容は男性同士の恋愛等をメインに取り扱った一次創作です。 BLなどのご理解を頂けていない方、嫌悪感を抱かれる方は回れ右でお願い致します。 ま
「アキシンナイトって石がどんな石かわからなかったけど、その後何とか調べたよ。……美しい褐色の石だった」「あなたの耳につけている石、やっぱりアキシンナイトだったんだな」 給仕としてナージフに接した時にファインが思っ
ブレイバーンレイディオ・まとめ & リアタイ最終回お知らせ〜!!
はい!! お疲れ様です!! 有島です!!! ブレイバーン、最終回が終わってからもう……既に3週間経ってしまいましたね…… 毎週(水)か(木)に慌てて記事を投稿していた時期が懐かしい...
男の音楽教師は、伸び縮みする指し棒をふるう。学校で指し棒を使うのは彼だけだが、教師がふるうこと自体、珍しくはなく、生徒はとくに注目をしていない。が、俺は気になって、授業中、ふるわれる指し棒に目が釘づけ。理由は自分でも分からなかったが、知らぬが仏。とは、そ
「俺の息子のほうが大きいな!」同僚の鎌田のセクハラはひどい。そそり立つ高層ビルを見あげていたら、また。「本気の俺の息子には負けるね!」むっとして「本当かよ!」と股間をにぎったら甲高い悲鳴が。「セクハラ!」「どの口が」と総ツッコミ。以降大人しくなったが、ど
鼓動が煩い。息が切れる。指先は冷え、血の気が引く。擦れ違った看護師が「廊下を走らないでください」と叱責する声を背中に聞きながら、ダイトは処置室と書かれているプレートの中から目的の番号を探す。本来は静かなはずの廊下にも人が溢れ、ざわざわと空気が落ち着きない。だが、それに構う余裕もなく、ダイトは見つけ出した番号の部屋のドアを勢いよく引いた。「無事か!?」ノックもなく突然開いたドアとそこから転がるように...
こぼれ話:この世界にはレベル100の魔王と勇者がいる!(初代様×犬/シモン×キトリス)
この世界にはレベル100の魔王と勇者がいる!! ※このお話は【初代様には仲間が居ない!】という作品の攻め「初代様」と【この世界には~】の「シモン」の比較対比お喋りとなっております。 初代様の血を色濃く引いた子孫が「シモン」なのですが、「初代
----おい、犬。なんでもかんでもせがれの言いなりになってんじゃねぇよ。ダメな事はしっかり言って聞かせろ。このままじゃ碌な大人にならねぇぞ。 犬「…って、初代様に言われたけど」 せがれ「らん、らん、らーーん」ぶんぶん! せがれは持ってたぬい
バス停に着くと、自販機で買った飲料水のキャップを開けてゴクッと喉に流し込む。一気に身体は潤った気がするが、額の汗は拭っても吹き出してきた。あっついな~ と、口からは自然と愚痴がこぼれ、バスの来る方向に目をやったまま再び飲料水を飲み込んだ。汗拭きシートを取り出そうと、鞄を開いた時だった。千晶の後方で「ちあきくん!」と名前を呼ばれてビックリする。 名前で呼ばれる事がほとんどなかったので、近所の人だろ...
ここに住んでから5年後の、ニールの言葉。「ネイサン。一緒に暮らそう」「暮らしてるだろ?」「ネイサンは僕から離れないよね?」「ニール?」「僕は知ってるよ。学生時代からずっと僕だけを見ていたよね。アサミもヨシも僕を見てくれていたけれど、彼等は卒業したら日本に帰国した。もう、ここに来ることはないだろう。でも、ネイサンは違うよね?」その言葉には驚いた。「何を言って・・・・・・」「僕、知ってるよ」「何を・・・・・・」「...
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