背徳のカプリッチオ ⑦(最終章)※18禁指定にした方がいいかな?(気弱)
第七章 よく晴れた日、久しぶりに見る「緑のお屋敷」別名「樹神御殿」は昔とちっとも変わっていなかった。 高くそびえる木立も、水滴を涼しげに振りまく噴水も、咲き乱れる花々も二十年近く前のあの頃と同じだった。 いや、屋根や壁がいくらか古びたり、窓の奥のカーテンの色が変わったりと、それなりに変化しているのだが、オレの記憶の中にある姿をとどめていた。「うっわー。懐かしいな」「さっきから懐かしいの大安売りだな」 建物を目の前にして、同じ感嘆句ばかりを口にするオレに、傍らの健吾がやれやれと苦笑する。 隣の公園では数人の子供たちが遊具で遊んだり、砂場でじゃれ合ったりしていたが、野球をやる少年たちはいなかった。…