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オリジナルBL小説・・・ストーリー系

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オリジナルBL小説・・・ストーリー系
テーマ名
オリジナルBL小説・・・ストーリー系
テーマの詳細
ストーリー重視のBL小説(オリジナル)、トラコミュです♪ 下の何れかに該当する作品ならお気軽にo(*^▽^*)o~♪ ☆主人公の心情重視です!(エロなしプラトニック) ☆エロもあるけどストーリー重視 (過激なエロも話の一部としての役割に過ぎない!) ☆ストーリーがあってこそのエロ(エッセンスとして) エロ重視(官能系)のBLはトラコミュ「小説18禁・15禁」でお待ちしております≦(._.)≧ ペコ もちろん、両方に該当される方はどちらにもご参加下さいませ♪ 注!ココでいうエロとは、創作としてのものです。あくまでも小説であることが前提です。 ★両コミュともに、小説以外の記事(ページ内に小説のない更新情報だけとか…)は非表示にさせて頂いております(゚゚)(。。)ペコッ 小説のみのコミュです。 ☆ご自分で書かれたオリジナルBL小説のコミュです。商業誌の感想・書評は非表示にさせて頂きますm(__)m
テーマ投稿数
25,250件
参加メンバー
197人

オリジナルBL小説・・・ストーリー系の記事

1件〜100件

  • #俺様攻
  • #少年
  • 2022/09/29 00:17
    そうして、ヴァルハラに至る 13

    パステルカラーの壁紙に合わせた、淡い桃色のやや小振りな長椅子。「猫脚」とも呼ばれる柔らかなS字の曲線を持つカブリオールレッグや背面に施されたアカンサスの葉と貝のモチーフの彫刻は緻密なもので。脇に置かれた丸テーブルも貝と象嵌で装飾されており、チェストには寄木細工が施されている。装飾そのものは実に繊細で優美なものだが、全体的にコンパクトにまとめられ、派手さはない。それは、18世紀のルイ14世時代末からルイ1...

  • 2022/09/23 22:32
    そうして、ヴァルハラに至る 12

    一見するとブラックに見えるが、陽の下では限りなくミッドナイトブルーに近い拝絹地でつくられたピークドラペルのジャケットと側章が1本入ったスラックス。そこに合わせるのは、白無地のウイングカラーのプリーツシャツと黒色のボウタイとオペラパンプス。ジャケットの中には、U型のウエストコート。袖口のカフスは艶やかなオニキスで、胸元には上質なシルクのチーフ。それは、最も格式の高い礼装である“ホワイトタイ”を簡略化した...

  • 2022/09/23 21:10
    みんな友だちだよ #39

    喫茶での中華食がもう少しで終わるというところで、自分の店が建築終了した。1階は店舗で、2階は住居だ。喫茶に置かせてもらっていた中華食の物を自分の店へと移していく。最初はラーメン屋だ。そのラーメン屋を始め2年経った年の10月末。このラーメン屋は、11月から中華店になる。元々店舗は広いので余裕に中華店ができる。そう、10月末という時期はハロウィン。大学の仲間と共にハロウィンの仮装パーティーに出る。なぜ急に中...

  • 2022/09/21 21:08
    みんな友だちだよ #38 拉致られる!

    その事件とは、ボスが誰かに拉致られてしまった事だ。それを教えてくれたのはマサだった。しかも、犯人は発砲したがる爺ときた。ボス、奪回だ!でも、ここで動くのは他の皆で、私はユタカと連携コンビだ。話をしている間に不機嫌になったと教えてくれたので、これは骨が折れる仕事が一番最初かよと、内心では嫌気がさしていた。うーん、どうか機嫌が良くなりますように。管制塔に足を踏み入れるとモニター画面がいくつもあり、緊張...

  • 2022/09/20 22:39
    そうして、ヴァルハラに至る 11

    バイエルン州北部フランケン地方にある小さな都市、バイロイト。街の歴史は古く、1194年に記された文書の中にその名前が初めて言及されている。はじめは「村」と呼ばれていたが、1231年の文献では「都市」と記され、1260年にはかのドイツ騎士団の血を繋ぐプロイセン王国を創国したホーエンツォレルン家一門のニュルンベルク城伯がこの土地を治めた。その後、神聖ローマ帝国の皇帝カール4世により貨幣鋳造権を与えられたことでバイ...

  • 2022/09/19 21:13
    みんな友だちだよ #37

    皆の戦闘を見ていると、ウズウズしてきた。ソイツは私の獲物だ!なので、ボスに交渉していた。 「ボス! 私も参戦したいっ。あいつは、私の畑に毒を入れて食材をダメにして閉店を余儀なくさせられた。食い物の恨みを晴らしたい!」はあ……と溜息を吐いていたが許しを貰った。 「一本だ。いいな。」 「ラジャ!」そこに突っ立っているマサから警棒を2本引ったくり、向こうに走っていく。叫んでいた。 「おらおらおらぁー! 最...

  • 2022/09/16 21:18
    みんな友だちだよ #36 捕り物(洋一視点)

    それに、ちょうどタカとユウマも着いたみたいだ。だから中に入れてやる。どうせ暇だろ、お前ら。見学するより動けよ。そう思い付け足してやる。「マサとユタカ。それに、今着いた奴ら。タカとユウマ。お前等もだ。入れ。」マサは驚いている 「えっ! 私は仕事……」ユタカは舌打ちしている。 「くそったれ、そうなるよな……」タカとユウマは、これだ。「えー……。せっかく着いたばかりなのに……」「何をやらせる気だ?」その2人にこ...

  • 2022/09/14 21:15
    みんな友だちだよ #35 毒男発見!

    喫茶が中華になって客足はどうなのか心配だったが、順調にいっている。そんな時、ある事件が起きた。ある夜、誰かが走り出てきた。ユタカの声が聞こえてくる。 「ソイツを捕まえろ!」へぇ、捕まえるだけで良いんだと思い追いつく。だけど、そいつは忘れもしない毒男だ。 「お前……。もしかしてブラッディか!」そいつはこっちを見ると立ち止まってしまったので足を払ってやる。 「隙有りっ!」地に膝を付いたソイツを立たせてい...

  • 2022/09/12 22:17
    そうして、ヴァルハラに至る 10

    大地に轟く稲妻のような重たく低い音が遠くに聞こえた。それは近付くことなく、その場に留まって緩やかに上り詰めていく。風が止み、雨が上がり、雲が切れるように。美しく、壮大で、壮麗で。深い夜のどこか寂しく物哀しい光景を思わせる旋律。そこに、力強くも優しい歌声が重なる。最初は囁くように、徐々に語りかけるように、最後は情熱的に希うように。その祈るような切実な声に促され、街を覆い隠していた重たい夜の帳がゆっく...

  • 2022/09/05 21:12
    みんな友だちだよ #31 親友の結婚式

    4年生、5年生も同じように過ごし、6年生に上がる前、就活をしていく。どこに行こうかと迷ったが、とりあえず親がやっているので、そこでいいやと思い進路先を新潟にする。その前に、実地研修だ。附属病院から始め、区立病院もやり、近隣の病院も数院に実地に赴く。机上と実地は違うということは知っている。知っているが、ここまで差があるとは思ってもいなかった。実地が終わり、家に連絡する。「どした?」「そこで2~3週間、...

  • inkrich
  • 2022/09/05 00:23
    そうして、ヴァルハラに至る 

    身体を開かれる、という感覚。本来受け入れるための器官ではない場所を他者に開け渡すことに躊躇がないと言えば嘘になる。自分ですら触れたことのない身体の奥を暴かれるのだ。半ば強制的に与えられる快感は恐怖にも近い。しかし、身も心も委ねることで得られる歓びを一度知ってしまえば。本能的な恐怖など容易く服従させられる、とアルフレードは両腕をハインリヒに伸ばした。「ハイン」自分だけが呼ぶことを許されている愛称を紡...

  • 2022/09/02 23:32
    そうして、ヴァルハラに至る8

    たっぷりと時間をかけてタオルドライした金糸の髪は上等な蜂蜜を思わせるほど艶やかで。甘いそれを左右にふわふわと揺らしながら軽やかなメロディーを口ずさむアルフレードの後ろ姿が微笑ましく、ハインリヒは口端を緩めたまま氷が浮かぶグラスを差し出した。「お疲れ、アル」「ありがとう。ハインもお疲れ様」隣に腰掛ければ、ソファに預けていた身体を自然に委ねてきたアルフレードの甘える仕草にハインリヒの頬は緩むばかりで。...

  • 2022/08/30 23:17
    そうして、ヴァルハラに至る 7

    普段は足を踏み入れることのない応接室の内装や調度品に気を取られる余裕もなく。何とか一度も書き損じることなく全ての書類にサインを終えたアルフレードは、ふぅと妙な達成感を噛み締めながら息を吐き出した。そして、手元にあった革張りの手帳をハインリヒに返す。「手帳ありがとう。大事なページを使っちゃってごめんね」「アルの字は綺麗だな」「え?」「このページは大切に残しておこう」名前を書く練習をしたい、とねだられ...

  • 2022/08/26 22:17
    そうして、ヴァルハラに至る 6

    良い出来事が続くときがあれば、悪い出来事が続くときもある。あらゆる物事が順調に続いていたというのに、ある日突然何をしても上手くいかなくなるのだ。そういうとき、人はどうしたって辛く苦しい状況に打ちのめされる。昨日までは上手くいっていたのに、と俯く。だが、エネルギーというものはそもそも続かないもので。良い出来事が永遠に続くことなどありえない。つまり、悪い出来事も続くことはない。(そう思えるようになった...

  • 2022/08/22 21:01
    みんな友だちだよ #25

    2年の前期試験前。なにやら皆が嬉しそうにしているので話しを聞いていると、悟君の父親の誕生日パーティーに参加できるとのことで。「マジで? 行く行く」悟君は意地悪モードに入り、こう言ってくる。「私よりテスト結果が悪いと連れて行かない」変動はなく、いつもの悔し顔の悟君が見れてラッキーだった。「そったれー!」いえーい!!おっと、タキシードの用意だ。余興で何かをしたいな。させてくれるかなと悟君に言うと、翌日...

  • #ベイブレードバーストダイナマイトバトル
  • 2022/08/21 21:43
    そうして、ヴァルハラに至る 5

    天板が可動するワークテーブルは既製品ではなく、私室として与えられた部屋に合わせて作られた特注品。インクが零れても拭き取りやすく、カッターやナイフの傷も目立ちにくい特殊な材質で作られている。天板の角度も細かく調整でき、作業効率や使い心地も考え抜かれたテーブルだ。文具やノートパソコンを置く場所も確保されており、そのテーブルの横には床から天井まである本棚が側面から背後を囲うように壁に備え付けられている。...

  • 2022/08/17 00:25
    そうして、ヴァルハラに至る 4

    ミュンヘン旧市街地の中心に位置するマリエン広場から伸びるノイハウザー通りはショッピングストリートにもなっており、多くの市民や観光客で常に賑わっている。古いレンガの建物と新しいブランドの看板、古い石畳と新しいファッション、古い文化と新しい価値観。どちらかが存在を誇示するのでも競い合うのでもなく、見事に融合した美しい街並みはまさに歴史と共に生きていると言うべきだろう。14世紀に要塞の一部として建てられた...

  • 2022/08/12 21:18
    みんな友だちだよ #22

    5人が道場の真ん中に向かったが、すぐに飛ばされてきた。 「さすがだわ……。医学部1年の王偉強 (ワン・アンドリュー)。香港人だ。よろしく」 「くっそ……、少林寺では負けないと思ったのに。同じく医学部1年の高瀬正孝」 「柔道の師範してるのに、柔道で負けるとは……。同じく医学部1年の渡部優馬」 「得意の手刀で負けるとはな。同じく医学部1年の山口悟」そして、一番最初にぶっ倒れたのだろうと思える一人が這い出てき...

  • 2022/08/09 00:01
    そうして、ヴァルハラに至る 3

    いつも通りの時間に玄関で見送ったその人は笑顔で。しかし、いつもより幾分か遅い時間に再び玄関で出迎えたその人の顔には酷い疲労の色があった。忙殺されるような日々に慣れているとはいえ、疲れることもあるだろう。だが、彼がそれをここまで顕著に曝け出すのは珍しい。アルフレードは反射的に腕を広げてその身体を抱きしめた。濃い煙草の苦い匂いに噎せそうになる。「おかえりなさい、ハイン」「…ただいま」いつも通りの言葉が...

  • 2022/08/03 23:47
    そうして、ヴァルハラに至る 2

    明るいリビングに用意された、温かい料理。今日1日について楽しげに語る、愛しい人の声。上等なワインを傾けながら会話を弾ませる、優しい時間。それは、膨大な情報と数字に追われて荒み疲れ切った身体と心を癒す。あまりにも穏やかなそのひと時に、睡魔が肩を叩いた。しかし、それよりも魅力的な存在が目の前に居てどうして抗わずにいられるだろうか。食後のコーヒーもそこそこに、欲望を隠しもしないで「寝室へ」とハインリヒは...

  • 2022/08/03 21:04
    みんな友だちだよ #18

    太極拳の道場を見つけたので、そこに通うことにした。いきなりだけど、と前置きされ、高2に上がる春先に3級を取り、夏には2級を取る。もちろん太極拳だけでなく進学の勉強もするが、進学先が決まらないでいた。お姉ちゃんに話すと、こう返してきた。「東京に行ったら?」「東京?」「こんな狭いところで終わるな。洋一は東京に行って、もっと視野を広げてご覧」そうは言っても、中々進路先が決まらない。高3の夏休み、中国に行...

  • 2022/07/28 16:23
    そうして、ヴァルハラに至る 1

    「君たち、新しいものを創りたまえ」。これは、“楽劇王”の別名で知られるリヒャルト・ワーグナーの言葉である。演劇を「最高の芸術」とした彼は19世紀のドイツにおいてロマン派歌劇の頂点に立ち、作曲のみならず自ら指揮を揮った。その作品のほとんどの台本を単独執筆した文筆家の顔も併せ持ち、思想家や理論家としてもヨーロッパに広く影響を及ぼした文化人の1人である。父は警察で書記を務める下級官吏であったがフランス語に堪...

  • 2022/07/25 22:15
    みんな友だちだよ #14

    一方、洋一は昭栄から課題を出され四苦八苦している。「うーん……」「ヨーイチ、無心になれ!」「あっ!」「邪心を心から追い払うんだ!」物を大事に扱っているつもりでいたのだけど、どうやら、俺の思っているのとでは大いに違う事がすぐ分かった。物を持ったままスキップする事だったのだ。最初は鉛筆やノートのような軽い物で。どうして、すぐ落としてしまうのだろう。「物は大事に扱いましょう」「はい」「返事はいいのだけどね...

  • 2022/07/16 10:54
    みんな友だちだよ #10

    孝一は手紙の封を開けたのを後悔した。封筒の中には、自分名義の通帳と印鑑が入っており、それを見ると毎月振り込まれている。プラス、この手紙だ。「洋一は、高校受験するため、自分の戸籍を手に入れた。その時点で、やっとお前のことを知った。今後は一切振り込まないので大事に使いなさい。」息子である洋一には一言も書かなかったのに、こっちには書いてある。「今後は振り込まない」ということは、洋一との関係はどうなるのだ...

  • 2022/07/15 00:46
    光咲く

    その湖の名前は、ボーデン湖。ドイツ、スイス、オーストリアの3ヵ国に囲まれており、ヨーロッパでも有数の温暖なリゾート地として世界中から多くの観光客が訪れる。日本最大の面積と貯水量を持つ淡水湖と肩を並べるほど広大な面積を持つ湖はもはや海のようで、夏になると短くも眩しいその季節を謳歌する人々の姿で賑わう。古都コンスタンツは、その湖の西端に位置している。4世紀半ばにローマ皇帝コンスタンス・クローレによって築...

  • 2022/06/23 13:38
    最新作! 「みんな友だちだよ」 #1

    甲賀の血を受け継いでいる人間が新潟に養子に出された。高河隆は、村上へと姓が変わった。結婚した相手は中国人で、どことなく生母に似ている。いわゆるマザコン気がある男を父に持って生まれた子ども。それが、村上洋一だった。その前にバツ一で娘もいるが、こちらは早死にした元妻との忘れ形見だ。この2人を手元に置いていた。娘は洋子と書いて、ヒロコ。息子は洋一と書いてヨウイチ。いずれも「洋」の字が入っているのは、双子...

  • 2022/06/06 21:06
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #62

    自分たちの育ての父親と本来の父親がいる。自分たちは捨てられたと感じているのは真ん中の次男だけだった。そんな思いを払拭するかのように3階に上ると、既に末っ子がやっている。 「雄飛、何をやっているんだ?」 「なんで拓兄が来るの?」 「ストレス発散。」 「兄ちゃんは?」 「風呂ってる。てか、お前言われただろうが、こんなに高くしやがって落ちるぞ。」 「デフォルトでやりたいー」 「俺たちは忍者じゃないんだか...

  • 2022/06/04 13:27
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #61 エピローグ1

    甲賀忍者の末裔。本家に双子の男児が生まれると片方は早く逝き、もう片方は生き延びる。だけど、この2人は生きる事を自ら強く望み、相手を選んだ。1人は忍者の利を活かし、分家に横取られた物を返して貰い、叔父と一緒に“政府に守られている”と謳われている組織を健全なスポーツ事業へと構築していく。なにしろ道場主をしていたので、ノウハウはあるから大丈夫だ。その為には、この組織に従属している連中を「一から仕込み直さな...

  • 2022/06/01 21:40
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #60 新しい人生へ!

    入居先は駅に近いマンション。 「仕事はどうするの?」 「ここは俺の名前で個人借りだ。3部屋あるから一部屋を仕事部屋にしよう。」 「どんな仕事が良いかなあ……」瑞樹の事は好きだけど恋人とか恋愛対象ではない。それでも良いと言ってくれる瑞樹に甘えてしまう自分がいる。泣いたり怒ったり色々とあったが、これからも続くだろう。ボケッと瑞樹の顔を見つめていた。そういえば、あそこで同じベッドに横たえて寝てたな。風呂も...

  • 2022/05/28 11:12
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #58

     「これ解け!」 「翔馬がしたの。」 「くそぉ……」その2人を無視して、子ども3人に声を掛ける。 「3人とも下りるよ。滑り台、登り棒、どっちがいい?」3人の声が重なる。 「滑り台!」 「雄飛君、昨日それしてどうなった?」 「同じミスはしない。」 「受け止めてくれる人いないよ?」 「大丈夫。3人揃って寝るだけだから。」その言葉に兄2人は呻っている。 「ゆーうーひー……」でも末っ子は強い。 「兄ちゃん、滑...

  • 2022/05/23 21:06
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #56 叔父VS甥 パート①

    目と目が、かち合う。何を考えているのか分からない兄は突撃してくるみたいだ。バカ正直に己の欲望を抑えこむ事はしないだろうな。もう1人は横から、いや後ろか。ふん、2人を振り回してやる。2人が前後から俺を挟みこんでくる。変わり身の術にするか、それともギリギリまで待つか。後者の方を取った、その一瞬。何かが俺の身体に触れている。これは手、このイヤらしい手つきは、まさか……。 「のやろ……」 「えへっ、1本! 翔...

  • 2022/05/17 13:20
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #53

    4階のも起動させるとスタートする。3階から4階。そして蔵へと渡り、家の壁伝いで屋根へと上る。屋根の上から煙突を経由して3階に下りると滑り台を使い庭に下りる。そのまま4階の開いている窓にジャンプして飛び込む。4階から3階へと下りるのは部屋内の壁伝いだ。音もなくササッと忍び寄ってくるマネキン猫に手裏剣を飛ばし、跳ね返ってくる手裏剣を躱しながら高中低の高さで回し蹴り。5体の人体も出てくるので懐に忍ばせて...

  • 2022/05/15 18:40
    トリステの正しい場所 11

    試験で良い成績を取ることも、試合で最高の結果を出すことも。「当たり前」だと人々は口にした。だが、どうして彼らはそれを出来て当然だと思ったのだろう。確かに、はじめから何でも出来てしまう人も居る。僅かな努力や練習で卒なくこなしてしまう人だって居る。しかし、そんな人は極僅かだ。自分がその数パーセントの人だと言った覚えもなければ、自負できるだけの器用さもない。にも関わらず、他人は一方的に決めつける。「当た...

  • 2022/05/11 21:06
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #51

    兄2人が起きてきたのは翌日の朝だった。 「ゆ・う・ひ・くん」 「元気そうだなあ。」睨んでいる2人に雄飛君は朝食を差し出す。 「おはよ、お兄ちゃん。昨日はごめんね。おじさんに言われた通りにしていれば良かったのに、特攻隊になっていたんだ。お腹すいたでしょ。はい、どうぞ。」そう言って夕べの夕食のおかずも出している。 「お前は、朝から」 「太れと言うことか?」そんな兄に雄飛君は応じている。 「こっちは昨日...

  • 2022/05/08 14:38
    トリステの正しい場所 10

    防具を鞄に詰め、ケースに入れた剣を右肩に担ぐ。もう何年も触れていなかったというのに、その重みは身体に馴染んだもので。疲労感はあるが、爽快感を伴うそれに足取りは自然と軽くなる。試合中は危険だからとコンタクトレンズにしているが、やはり眼鏡の方が落ち着くな、とブリッジを人差し指でくいっと上げたフルアはそのまま更衣室を出た。互いの健闘を称え合い、談笑する選手たちを横目にエントランスに向かう。過去に何度も訪...

  • 2022/05/07 12:14
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #49

    若いって良いねえ。まだ幼かった頃の自分たちを思い出していた。 「なんか楽しくなってきた。ねえ、デフォルトでやってみたい。」 「ものすごく速くなるし、位置も高くなるよ。できないと思う。」 「高いってどれぐらい?」 「低くて3m、一番高くて7m。」 「それがデフォルトなの? それは無理かもぉ……」頑張り屋な雄飛君を見ていると、不思議と“この子なら”と思えてくる。 「さあ、下りるよ。」 「まあ、明日から2日...

  • 2022/05/04 00:59
    トリステの正しい場所 9

    その人は、安全装置。たとえば、エレベーターは各階の全ての扉が閉じなければカゴが移動しないようになっている。鉄道車両も同様で、左右全ての扉が閉じなければ発車できない。ボイラーは燃料や水位が低いときには燃焼を始めず、高度な医療機器は幾つもの手順を踏まなくては作動しない造りになっている。ある操作を行うときに、特定の条件が満たされない限りその動きが制御されるのだ。機器の起動状況、扉の開閉状況、圧力、液面、...

  • 2022/04/30 18:44
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #46

    3人とも、こんな事を言ってくる。 「甲賀忍者って、時代劇に出てくるよな。」 「明智だっけ、織田だっけ? どこかが手懐けていたっていう忍者だろ。」 「暗躍したっていう江戸時代の影武者?」これはテレビの見過ぎか。この子たちの情報源はテレビなのかと思うと本当の事を知って欲しくて言っていた。 「この蔵の中にある本を読むと少しでも祖先のことが分かるよ。」すると3人とも同じ発想なのか、似たような言葉が返ってき...

  • 2022/04/30 03:04
    平等な夜 #20

    「沁みますね」 「ごちそうさまです」  お湯が沸いた。二束でいいですか?と聞かれて、僕は頷く。 「そうめんって、一束じゃ全然足りなくないですか」 「わかります。食べた気がしないです」 「よかった、じゃあ四束入れますね」  三島さんはキッチンタイマーを2分に設定すると、手際良くそうめんを茹で始めた。真っ白な麺がパラパラッと放射状に散らばって、ぐったりと沈み込む。スパゲッティの麺と違って、細くて頼りな...

  • 2022/04/28 01:32
    平等な夜 #19

    「おはようございます」  とっさに僕はそう言ったものの、覚醒しきっていない三島さんからは返事がなかった。ぼんやりと、まだ半分しか開いていない目が僕を見た。その、小さな子供が未知の生物を瞳の中に映し込んだ時のような、いとけない無防備さが、僕の胸を甘くくすぐった。いつもの明晰さはまだ身につけていないみたいだった。ふっと、三島さんの黒目が狭まって、唐突に焦点が合う。彼の瞳の中で、僕の存在が認識された...

  • 2022/04/27 12:15
    平等な夜 #18

     たぶん、三島さんはキスもセックスも上手いんだと思う。 こんなに不安そうに、逐一僕の気持ちを確かめて、最大限に尊重してくれるくせに、いざ僕の体に触れるとき、なんのためらいもなかった。行き届いた指先に、この人すごく慣れてるんだろうなと、さっき背中を揉んでもらいながら僕は思った。三島さんはたまに怖いくらいの真剣さで僕を見据え、その情熱が、背筋をゾクゾクと舐め下ろしていく。温度が限界まで上がりきった、青...

  • 2022/04/25 21:06
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #44

    俺たちは中学校に入学すると独り立ちを強要された。何のために?兄貴は明るく振る舞うようになり誰からも好かれるキャラになってしまい、高校入学と同時に年上女性と付き合い半同棲するようになった。でも根っこは変わってない。落ち込んだ時は俺に抱きついてきていたからだ。なら、今回は?思いに没頭していた。何かを決意していたのは分かっていた。だから来たのだろう。あの時、兄貴はなんと言っていた?来た理由を並べ立ててい...

  • 2022/04/25 14:16
    トリステの正しい場所 8

    「それで?」「はい?」「また始めたのか、フェンシング」サインを終えた書類を受け取り、フルアは上司に視線を向けた。短くなった煙草を灰皿に捩じ込み、重厚なデスクチェアに背中を預けたハインリヒが紫煙を吐き出す。その眼差しは一見すると射抜くような鋭さと冷たさを持っているが、冬の海の色を宿したそれが存外に温かいものだと知っている。今も純粋な好奇心を浮かべたハインリヒの双眸に、フルアはそれと辛うじて分かる程度...

  • 2022/04/21 10:35
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #42

     「兄貴……」 「翔馬。あいつは高校の時から、お前を敵対視していた。」 「え?」 「ほら、学校の成績って同点だと順位はどうなる?」 「あいうえお順……」 「だろ。だから、あいつは優位に立てていたんだ。」 「意味が分からないのだけど?」そう言うと、瑞樹は溜息をつき、こう言ってくる。 「頭良いくせに鈍いよな……」 「誰が何だって?」 「そういう所は全然変わらん。」 「瑞樹君?」睨んでいるにもかかわらず瑞樹は...

  • 2022/04/19 22:17
    トリステの正しい場所 7

    サッカーやラグビーなどのスポーツ競技で自軍のゴールを守備する役割を担う選手やポジションの名称“defence”の意味は、「防御」。この言葉を由来に持つのが、「柵」や「囲い」を意味する“fence”。隣家との境界を守る塀、家畜を外界から守る囲い、車から人を守る歩道の柵。それらは全て、フェンスと呼ばれている。つまり、「防御」の意味を持つ“defence”から生まれた“fence”には、「守る」という意味もあるのだ。自分自身の身を守...

  • 2022/04/15 21:05
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #40

     「で、全員やっつけたの?」 「5人ぐらい残っているよ。」 「ブランクもあり全然やってない奴には、まあまあなデキだな。まぁ、ここの連中は弱いからなあ。」すると違う声が聞こえてきた。 「いい加減、そこからどけ。」 「お、起きた? ここの連中、5人残してやっつけたよ。」 「そりゃ、お前にかかれば赤子の首を切るようなものだろう。それよりも、どけ。」 「はいはい。」 「まったく、こいつらは揃いも揃って同じ...

  • 2022/04/15 00:39
    トリステの正しい場所 6

    エレベーターが目的地に着き、静かにドアが開く。最上階に位置するそこから望むミュンヘンの夜景は壮観だが、見慣れたそれに感慨があるはずもなく。ハインリヒは書類が詰め込まれた重たいビジネスバックを片手に、長い廊下へと足を向けた。どうしようもなく気が急くのは、その先に「会いたい」と望む人が居るからに他ならず。今朝別れたその人の顔ばかりが思い浮かぶ。24時間常駐しているコンシェルジュが最上階の住民のために活け...

  • 2022/04/11 01:05
    平等な夜#17

     約束すると、都さんはふわっと肩の力が抜けたような笑顔を見せた。そしてそのままクラッと前のめりに傾いた。あれと首をひねる彼は首まで赤くなっていた。僕は先ほどから都さんの紅潮を、肌の表面が徐々に浸水されていくみたいに赤くなっていくさまを、つぶさに観察していた。色白な彼の変化は一目瞭然だった。アルコールは、今、都さんの体のどこまで回っているのか。 目元から頬、輪郭を通り過ぎて長い首筋へ。見える範囲は全...

  • 2022/04/08 21:30
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #37 性描写ありま。。。す?

    目を開けると伯父は固まっている。思わず口に出ていた。 「ウブなのか……」 「お、おと、おと、おと……」 「男とするのは初めてなのか。なるほど納得。」 「お、ま……」 「なら手加減してやるよ、童貞君。」そう言うと床に身体を押し倒してやる。 「だ、誰がどう、こら、何を」 「ケツ掘ってやる。もっと良い気分にさせてやるよ。」 「バカ、やめろ。チビ」 「チビじゃないの見りゃ分かるだろ。」 「めろっ」 「あんたが、...

  • 2022/04/08 20:52
    トリステの正しい場所 5

    ファストフードの代名詞とも言える世界的に有名なハンバーガーショップの出店数が世界で第4位のドイツには、様々なファストフードが存在する。それらの店は総称して“インビス”と呼ばれ、街中に限らず駅構内や市場の中にも多く見られる。ドイツの代名詞ともいえるヴルストや国内ではポメスと呼ばれているフライドポテトのインビスは、それこそ歩いていれば必ず見つけられるほど。アジア系の店では焼きそばやフォーが人気で、トルコ...

  • 2022/04/07 04:44
    平等な夜 #16

     ガラス同士がぶつかる華やかな音が好きだ。都さんは勢いよく飲んだ。僕も同じようにグラスを傾けた。炭酸が喉を滑る。一気に煽ると、僕らは目を線にして見つめ合った。 「おいっしー」 「最高ですね」  再生しますかと僕は言って、リモコンを取った。 「字幕と吹替、どっちがいいですか?」 「うーん、今日は吹替かな」 「その感じだと、いつもは字幕ってこと?」 「いや、そんなにこだわっているわけじゃないですけど、...

  • 2022/04/06 08:01
    平等な夜 #15

     僕は都さんの頭を軽く撫でると、体を離して、場の空気を変えるように「喉乾きませんか?」と努めて明るく言った。  笑顔も浮かべた。「スイカ、食べましょう。それで、適当に映画でも見ませんか?」 いいですね、と都さんも僕に同意するように微笑んだ。僕たちは寝室を出て、リビングに戻った。僕は「都さんは座ってて」と言うと、冷蔵庫の前に立った。「いや、僕も何か手伝います」「いいんですよ。スイカ切るだけですし...

  • 2022/04/05 03:40
    平等な夜 #14

       そのまま、衝動に任せてしまおうかと考えた。だけど、その前に僕が絶対に聞かなければいけないことを。どうしても確かめてみたかったことを、僕は口にした。 「都さんは僕のこと、どう思ってますか」  目の前の体が石膏のように固まる。僕がとっさに離れると、濡れた前髪から水滴がいくつか落ちた。それは都さんのうなじに真っ直ぐ落ちて、彼は大きく身震いする。  ゆっくりと都さんは僕の方へ振り返った。  ...

  • 2022/04/04 21:42
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #35 翔馬&瑞樹

     「翔馬っ!」微かに聞こえてくる怒声と嬌声に不安が過るので、自然と走ってしまう。翔馬、翔馬。俺は高校の頃から、ずっと見てきたんだ。誰にも渡したくない。誰にも触れさせたくない。俺だけのものにしたい。そう思いながら、今まで側に居たんだ。お前が、俺の事をどう思っていようが俺は手を離す気はない。段々と怒声が大きくなってくる。 「翔馬っ!」これは正門か。よりにもよって人の多い所でするとは。そんな俺に誰かが声...

  • 2022/04/03 20:06
    トリステの正しい場所 4

    上司が会議室に入るのを見送り、フルアは公用車ではなく自家用車のキーを手にした。そして向かったのは、街の小さな個人医院。時間は午後の診察時間に入る少し前で、ドアにはまだ「休憩中」の札が掛かっていた。緊急の際はベルを鳴らすように書かれているその札を横目に、フルアは勝手知ったるとばかりの足取りで裏口に回った。小さな庭へと続くレンガの道を進めば、声が聞こえてくる。1人はこの医院の医師のもの。そして、もう1人...

  • 2022/04/01 03:11
    平等な夜 #13

     僕は都さんのそばに近づいていくと、膝を折り、彼の目線に合わせた。 「都さん」 「はい」 「髪を乾かしてもいいですか」  え、という表情で都さんが固まった。急なお願いに驚き、意図を掴みかねているようだった。僕は視線をそらさず、じっと返事を待つ。戸惑いながらも彼が頷いたのを確認して、すぐにドライヤーを手に取った。 都さんの後ろに膝立ちになって、丁寧に髪を乾かし始める。ごうごうと音が響く中、水分を含ん...

  • 2022/03/30 04:51
    平等な夜 #12

        僕は床に散らばった荷物と都さんのスーツを拾い上げて、近くのコートスタンドにかけた。心臓が口から出そうなほど緊張していた。都さんが、僕の家にいる。廊下に立っている都さんの涼しげな横顔を見ていると、とても現実のこととは思えなくてゾクゾクする。 「どうぞ」  僕がリビングのドアを開けると、都さんは小さく声をあげた。わあ、三島さんの部屋、すごくお洒落ですね。ゆるりと微笑まれて、僕は赤くなって...

  • 2022/03/29 03:22
    平等な夜 #11

     僕は店のブラインドを全て閉めてしまうと、自分と都さんの荷物、そしてスーツ一式を手に取り、出口へ向かった。その間も僕は都さんの手をきつく握って離さなかった。店の前の黒板に、7/17(土)臨時休業と大きく書く。字が歪む。すぐにスマホを取り出してお店用のTwitterとInstagramを開くと、片手で打つ。急な話で大変申し訳ございませんが、本日はお休みをいただきます。1分もかからない。僕はズボンのポケットに携帯を押し...

  • 2022/03/27 21:08
    平等な夜 #10

     僕もフォークとナイフを手に取った。しばらくはお互いが食器を使う形式的な音だけが響いた。都さんは食べるのに夢中で、特に何も言わなかった。僕は食事を楽しむというよりは、都さんの優雅で流れるような所作に見惚れたり、可愛い表情を楽しんだりしていた。気がつけば僕の皿も空になっていて、あまり食べた気はしていなかった。胸がいっぱいだった。好きな人と一緒に朝ごはんを食べている。僕の作った朝ごはんを都さんが一生懸...

  • 2022/03/27 20:25
    トリステの正しい場所 3

    人形のようだ、とこの人を揶揄していたのは誰だったか。1人や2人ではなく、大多数が眉を顰めながらそう囁くのだ。感情がない、だの。だから人の心が理解できないのだ、だのと。その者たちに見せてやりたい、とグラースは思った。一体どんな顔をするだろう。きっと驚きの余り口をぽかんと開けたまま立ち竦むだろう。あまりにも衝撃な光景に我が目を疑うかもしれない。行き場を失った手を彷徨わせながら、グラースはそんなことを考え...

  • 2022/03/27 03:10
    平等な夜 #9

     そうして僕はほとんど眠れないまま朝を迎えた。狭いシングルベッドに大人の男2人、ぎゅうぎゅうに隣り合って、眠れるわけがない。抱きしめることも、体の向きを変えることすらできないまま、僕はひたすら目をギュッとつぶって固まっていた。夏だから、剥き出しの肩や腕が絶えず触れ合っていて、眠っている都さんの高い体温が、僕の肌にしっとり移る。時々都さんが寝返りを打つたび、反射的に僕の首筋に顔を埋め、健やかな寝息を...

  • 2022/03/25 21:54
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #31 再会

    ここだと言ってノブを回して開けると甘い匂いが鼻につく。甘い匂いって何だ? 「何しているんだ?」その問いの返事はキッチンではなくリビングから聞こえてきた。 「お帰り。今ね、シュークリームが焼き上がったんだ。」 「ったく、お前は……。これ以上、俺を太らせる気か?」 「運動すれば大丈夫だよ。おきゃ……」俺を見る目が大きくなった。おそらく、その“おきゃ”を目にしたからだろう。その”おきゃ”と呼ばれた人物は声を掛け...

  • 2022/03/24 20:03
    平等な夜 #7

     そのまま僕は都さんを胸の中に戻してしまうと、もう1度強く抱き締め直した。都さんはまだ泣いていた。 都さん、僕はあなたのことが好きですと、祈るような気持ちで口にしていた。 あなたは消えたいと思っていたとしても、僕はあなたと一緒にいたい。あなたに死んでほしくない。返事はいらない。いいんです、そのまま眠ってしまっても。僕はずっと起きてるから。 僕は都さんを胸に抱きながら、窓越しの夜空を眺めていた。今は...

  • 2022/03/23 20:23
    平等な夜 #6

    「夜中までやっているし、カフェなのに割高じゃない。ここまで来て、最初はさすがに本から離れようと思ったのに、結局僕の趣味は読書しかないんだと気づいて、ほとほと自分のつまらなさに呆れました。だけど三島さんが淹れてくれた美味しいコーヒーを飲みながら、好き勝手に本を読んでいるうちに、僕は自分の手足に力が戻ってくるのを感じました。こんなに本を面白く読んだのっていつぶりだろう。結局、自分のせいで自分の1番好き...

  • 2022/03/22 20:01
    平等な夜 #5

     都さんはそこまで言うと、一旦僕から身を離して「もう大丈夫です」と照れくさそうに笑った。  僕も同じように笑顔を返すと、少しだけ距離を取って、都さんの言葉を待った。多分、その先生も僕と同じ種類の人間だろうと思った。僕以外の、世話好きの狼。情愛ではなくても、一目会った瞬間から、若い都さんが可愛くて可愛くて仕方なくて、彼のために何かしたくてたまらなかったんだろう。実際、自分が手に持っているもの全てが彼...

  • 2022/03/20 09:22
    平等な夜 #4

     想像したとおり、ただ抱擁しただけでうっとりしてしまうほど、都さんの体は僕にしっとりと馴染み、感覚がどこまでも落下していきそうなほど気持ちが良かった。僕はもっと色々すればと想像するだけで、腰奥から首の後ろまでとろけるような感覚が一周して恍惚とした。ぴったりとくっついた胸からは、都さんの破裂しそうな心臓の音が僕の皮膚をびりびり焼いている。僕は都さんの息遣いに耳を澄ました。彼からは驚きや困惑が伝わって...

  • 2022/03/19 19:52
    トリステの正しい場所 2

    「そういえば、もう辞めちゃったんですか?」「…何を、でしょうか?」「フェンシングです」両手でカップを持つ姿は小動物が木の実を食べているようだな、と微笑ましく見守っていたフルアはアルフレードのその唐突な問いかけに反応が遅れた。こてんと首を傾げるアルフレードの真っ直ぐな瞳に思わずたじろいでしまったのは。その瞳がビスクドールのような端正な顔立ちに人間らしい強烈な熱量を持たせていたからか。綺麗なものだけを...

  • 2022/03/18 01:35
    平等な夜 #3

     からになった皿を見つめ、フルーツティーを飲み干す。少しあとに彼もナイフとフォークを皿の端においた。そして、また手のひらを合わせ直すと、自分の中の深い部分からとても貴重なものを、僕だけのために取り出すように「ごちそうさまでした」と丁寧に言って、長く頭を下げた。 「お粗末様でした」  彼は顔を上げると、遠くの海を眺めるように僕を見た。 僕は彼についてある種の事実を確信していた。おそらく、これまでもず...

  • 2022/03/17 05:11
    平等な夜 #2

     後ろ髪ひかれる思いで彼の横を通り過ぎると、僕は定位置のキッチンへいそいそ戻った。鼻先に残る甘い匂いは強烈で、明日の仕込みをしなければならないのに、どれから手をつけたらいいかわからなくなってしまった。僕はとりあえず食器を洗うことにして、遠目に彼の観察を続けた。 彼はカフェオレをゆっくりすすりながら、ぼんやりと真夜中の街を眺めていた。いつものように本を開く様子はなく、膝の上で頬杖をつき、ひたすら物思...

  • 2022/03/16 21:11
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #27 洋視点

    ここに来て20年以上経ったが、まさか長兄の子どもがいるとは思いもしなかったな。大人しく男らしくなった。弟の方かな。いつの間にか参謀となり、今度は総代のペットへと変わってしまった。どういう事だろう。それに、総代は頭が良いしキレるので、こちらもフル回転させないといけない。だからターゲットが分かった時は、どのようにして避けさすが考えたものだ。なのに、10年間も狙っていたのだがパタリと止んだ。なぜなのか聞きた...

  • 2022/03/16 02:53
    平等な夜 #1

     なまぬるい午後だった。   誰かがテーブルに残していった瓶のコーラはすっかり炭酸が抜け、毎日14時に決まって店の前を徘徊する三毛猫も、今日だけは日陰で腹を晒していびきをかいていた。空気そのものがとろりとしていて、気だるい時間が蜃気楼のように人々の頭上を過ぎていった。  1年前に始めた夜カフェは、午後4時に開けて午前2時に閉める。まだ、青空と夕焼けがはんぶんこの時間は、月が白く小さい。じわじわと水色...

  • 2022/03/15 01:05
    音の無い映画 ♯10 −終–

     途方のない時間が過ぎた。もしくは一瞬だったのかもしれない。 言ってしまえば取り返しがつかなかった。 時安は身を起こして僕から離れると、夢の中にいるような顔をしていた。その表情が再び現実に戻ってくると、時安の瞳の中の色は複雑に揺れた。眉根が寄った。口元が悲しく歪んだ。   僕は覚悟した。 「そっか」   しばらく沈黙が流れた。時安は僕を見ていたけれど、僕が時安を見ることはなかった。できるわけが...

  • 2022/03/14 15:28
    トリステの正しい場所 1

    紀元前の頃よりその歴史が始まったといわれる、フェンシング。古代ローマ帝国の時代にその原型は作られ、度重なる革命や戦争の中で磨かれてきた。やがて火砲などの武器が発展したのちもフランスでは騎士の嗜みとして文化の中で生き続け、1896年には第1回近代オリンピックに競技として採用されることになる。元は戦うための技術。欧州の長い争いの歴史の中でそれはより鋭利に研がれ、より美しく研磨されてきた。しかし、その語源は...

  • 2022/03/13 22:51
    音の無い映画 #9

     時安がそう言ったとき、僕は唐突に考えがつながるような気がした。   もしかして、時安にはもう全部バレているんじゃないか。   僕の気持ちも、僕がそれをなんとか伝えようと必死で思い出話を引き伸ばしていることも。全部知っていて、僕の一人芝居に付き合ってくれているんじゃないか。    友達だから、ずっと仲良くしてきたから。それで僕が告白するのを辛抱強く待ってくれている。   その瞬間、カッと頭に血が上...

  • 2022/03/12 19:40
    音の無い映画 #8

     確かに楽しかったけれど、僕からしたらあの5日間はジェットコースターのように喜びと絶望を繰り返した地獄でもあった。   僕たちは同じグループで、最初は5日間も泊まりで時安と旅行に行けるなんて、楽しみすぎて「神の恵みよ」と唱えるくらいには浮かれていた。   なのに、1日目の夜、USJでたっぷり遊び、被り物をみんなで脱がないまま歩いていたホテルへの帰り道で、時安は同じクラスの安達さんに告白されたのだ。いつ...

  • 2022/03/11 21:01
    音の無い映画 #3

     退場が終わり、担任も教室に戻ってきて、最後のロング・ホームルームが始まった。 ここにいる全ての人間が、終わりかけの砂時計を必死に見つめるように惜しんでいた。もう砂は尽きる。だが終わりたくない。担任はしばらく何も言わなかった。ぼうっと立ち、僕たちには計り知れない過去に思いを馳せているようだった。まだ3年しか経っていないのに、入学当初よりも担任はあきらかにくたびれ、疲れていた。   担任はおもむろに...

  • 2022/03/11 20:13
    音の無い映画 #2

     時安は予想通り卒業式で見事な演奏を披露した。完璧な「旅立ちの時」だった。 緩急つけられた切ないメロディー。滔々と響くピアノの音。最初の音が鳴り、イントロが流れるように始まると、会場中の意識がピアノに集中するのがわかった。時安の横顔は真剣だった。 指揮者の動きに合わせ、息を吸う。合唱が続く。 時安のピアノには胸をつく切なさが絶えず滴るように鳴っていて、否応無しに思い出の中へ引きずり込まれる。想像は...

  • 2022/03/11 18:01
    音の無い映画 ♯1

     夢中でピアノを弾く時安の後ろ姿を見ると、いてもたってもいられない気持ちに駆られる。 何を弾いているのかはわからない。ただ、感情が揺さぶられて、頬杖をついてぼーっと座ってはいられなくなる。どうしてそんなに集中できるのか。どうしてピアノに大切な時間や情熱を捧げられるのか。真剣に何かと向き合った経験なんて持ち合わせていない僕には、時安の張り詰めた横顔が一生手の届かない惑星のように感じる。   時安の腕...

  • 2022/03/09 21:14
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #24 R18?性描写あります。が、注禁ではありません。

    何かが俺の顔に当たってくる。それは段々と硬く大きくなってくるのが伝わってくる。瑞樹は諦めたのか溜息まじりの声がする。 「ったく、こいつは……」ジッとしていると、その塊は熱を持ち、もっと大きく固くなってくる。そのうちに俺のも固くなるのが分かる。 「翔馬、俺の止め方が悪かったから……」言いたい事は分かるよ。でもね、俺は脱力状態になっているんだ。でも、変だな。今まではこういうのはなかったのに、目の前の黒いモ...

  • 2022/03/08 10:26
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #23

    痛みが来ないのは何故なのだろうと思っていると声が聞こえてくる。 「大丈夫か?」 「ああ、大丈夫。何かに躓いて」 「怪我していないなら良い。」 「うん、それは大丈夫だよ。」でも、目の前が暗いのだけど、これはどういう事なのかな。たしか床はフローリングのはずだ。 「瑞樹……」 「どうした?」 「俺、俺……」 「やっぱり、痛みは後から来るっていう意味か……」 「違う。俺の目の前が真っ暗なんだけど、どうしてなんだ...

  • 2022/03/08 00:16
    光が告げる、始まり。5

    助けてと声が枯れるまで叫んでも、助けはない。心を蹂躙された激痛は、消えない。忘れることのできない記憶が、悪夢となって襲いかかってくる。救いなどどこにもなく、現実はいつだって残酷だ。希望などない、と叫ぶことにも疲れて。絶望を嘆くことにも、疲れて。それでも。「先生がね、生きろと願ってくれた」「……」「先生が諦めずにいてくれたから、オレもあと少しって思えて…」「……」「あと少し…もう少しだけって思いながら、今...

  • 2022/03/05 21:52
    光が告げる、始まり。4

    それは、16歳のときの出来事。酷い凍傷のように焼き付いてしまった忌々しい記憶と傷。聞いて欲しいことがある、とそう語り出したアルフレードの声に耳を傾けながら、ハインリヒは殺意とはこうして芽生えるものなのかと思った。人が人を殺す正当な理由などない。どんな訳や原因があったとしても、人が人の命を蹂躙することなどあってはならない。だが、それでも。もし、大切な人が理不尽に傷付けられたら。もし、愛しい人が不条理に...

  • 2022/03/04 21:07
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #22

    あれから1週間経ったので決行した。風呂はいつも一緒に入っているのでいつでもできるが、難点は俺の甘え方だ。兄貴だと思えばいいのかな。試しに甘えてみるか。もしいけそうなら、そのまま空手に持ちこんで体術を教え込んでやる。そう思い少しずつ甘えているのだが、中々いけそうにない。 「なあ、俺の世話を焼くの楽しい?」 「ああ、楽しいぞ。」 「瑞樹の、その概念はどこにあるの?」 「可愛くて、ずっと手元に置いておき...

  • 2022/03/03 00:28
    光が告げる、始まり。3

    しまった、と思ったのは空になったベッドを見たとき。いつの間にかベッドに凭れて眠ってしまっていたことに気付き、ハインリヒは慌てて寝室を飛び出した。反射的に見た腕時計の針は4時を指し示している。睡眠薬で眠らされたアルフレードが目を覚ますには早過ぎる時間だ。だが、そこで眠っていたはずのベッドは空で。トイレに行っているのかもしれない。しかし、そうではないと己の勘は言う。(…あそこか)自然と足が向かうのは、リ...

  • 2022/03/01 22:42
    光が告げる、始まり。2

    1日中パソコンと書類に向き合って凝り固まった身体の痛みを感じながら、ようやく帰り着いた自宅のドアを開けたとき。空気を切り裂くような悲鳴が聞こえ、ハインリヒは持っていた鞄を玄関に放り投げて廊下を走った。声が聞こえてきたのは寝室からで。ドアを勢いよく開け、ベッドに駆け寄る。「アルフレード!?」明かりのない寝室の中央に置かれたベッドの上。胸を掻き抱きながら蹲っている青年を、そこに見つける。形振りなど構っ...

  • 2022/03/01 22:22
    光が告げる、始まり。1

    ※ご注意※この作品は2011年に公開のちに非公開になっていた『光が告げる、世界の終わりと今日の始まり』の改題・修正版です。アルフレードの告白篇としてもう一度丁寧に描きたいと思い、当時とは一部大幅に内容を加筆修正して再公開しました。いつもの長篇より短めですが、彼らにとってはひとつの「大きな起点となった物語」として読んで頂けましたら嬉しいです。なお、この1話には過激な暴力シーンを含みますのでご注意ください。...

  • 2022/02/24 17:59
    Morning Glory Fizz

    「後は荷解きだけだな」「うん、手伝ってくれてありがとう」「重たいものは無理に持つなよ」ラフなシャツの袖を捲ったハインリヒがデザイン用の資料が詰まっている段ボール箱を叩く。他にもサンプルの布や木材もあり、怪我をしたらいけないと続けた彼の過保護な一面に微苦笑を重ねる。俺のところにおいで、と差し出された手を取ったのは今から1週間前。不用な家具の処分も転居の手続きも全て任せてくれていいと言われたが、そうは...

  • 2022/02/14 21:28
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #14

    気がつくとベッドに横たわり布団もかけられている。あれは夢だったのだろうか、それにしても身体の節々が痛いのはどうしてだろうか。牢屋の鍵が開いて誰かが入ってくる。 「お前の処分が決まった。」この声は瑞樹だ。 「追放されるの?」 「いや、お前はペットだ。」 「ペット?」 「ああ、そうだ。俺のペットだ。」 「それって」 「お前が使っていた部屋は没収して、今夜からは新しい所になる。」 「どこ?」ベッドから下...

  • 2022/02/14 13:05
    いとおいしい時間

    熟練した職人によって丁寧に縫い上げられたそのシャツは世界最高峰と称され、“着る芸術品”とも謳われる。ナポリの伝統を守りながら長い歴史に驕ることなく真摯に人体と向き合い、徹底的に研究されたそれは袖を通した全ての人に最高の着心地をもたらすのだ。衿の形は、世界でもっとも美しいセミワイドカラーシャツと誉れ高い“ルチアーノ”。ナポリシャツならではの高めの衿腰、上着のラペルから跳ねない衿羽根、ノットの収まりが良い...

  • 2022/02/09 21:10
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #12

    まさか撃ってくるとは思わなかった。腕が痺れる。 「おいおい、腕が痺れたじゃないか。」 「……してやる。」 「翔馬、お前は自分の事を考えろ。こっちはこっちで今までのように逃げ切ってやるから。」その声に反応したのは瑞樹だ。 「今までって……。翔馬、まさか、お前がリークしていたのか。」 「リークって何の事?」 「何って……。あ、そうか。話し合いには参加させなかったんだ。」兄貴の声が聞こえてくる。 「じゃーな。...

  • 2022/02/07 22:37
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #11

    兄貴のおどけた口調が聞こえてくる。 「おんやぁ、腰巾着じゃないか。」 「とにかく逃げて。」 「はいはい、分かったよ。」 「逃げて。逃げて生き延びてね。」 「ほいほい。」 「兄貴、早く」 「任せなさい! 本家の家系図のありかが分かったので一安心だ。」瑞樹は、その言葉に反応した。 「本家の、家系図って……」 「腰巾着ちゃん、翔馬をよろしく。」 「てめぇに言われなくても。」なにを2人して言いあいっこしてい...

  • 2022/02/06 15:56
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #10

    俺は兄貴とチャットで話していた。 「しかし、お前の予想は昔からよく当たるよな。」 「双子特有のテレパシーかも……」 「俺には、そんなのないなぁ。」 「でも怪我とかはあるでしょ。」 「それぐらいはある。」 「かくれんぼとかね。」 「うんうん、かくれんぼにはならなかったな。」 「だから、お願い」 「今回も、か。」 「うん。だけど今回より先は見えないんだよね。どうしてなのだろう?」 「力が消えるということ...

  • 2022/02/05 22:31
    Mojito

    不意に肩に落ちてきた重みにアルフレードはそちらに視線を向け、ふっと頬を緩めた。普段は後ろに撫でつけている黒髪は洗いざらしのままで額を隠し、強烈な印象と鮮烈な存在感を与える瞳も今は瞼の向こう側。存外に長い睫が薄い影を作っている容貌はどこかあどけなくも見え、ハインリヒのその穏やかな寝顔にアルフレードは眦を下げる。首筋を擽る吐息もまた穏やかで。その優しさに思わず泣きそうになるのは、王で在れと己を律して生...

  • 2022/02/03 16:18
    Uriel

    「…はぁ、あんなところにいたら窒息する」凍てつく夜風に晒されるのも厭わずに。むしろ、あの窮屈な空間で無駄な時間を過ごすよりは余程マシだと言わんばかりに息を吐き出す。開け放たれたままになっている扉の向こうから、まるで少年を呼び戻そうとするかのように聖歌隊の讃美歌が彼を追ってくる。しかし、美しい旋律も彼の興味を引くことはできなかったようだ。少年は背中を叩くそれを拒むように厚手のコートのポケットに両手を...

  • 2022/02/02 22:21
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #9

    総代と呼ばれていた男の娘は翔馬に近づきだした。だから邪魔をしていた。なぜ翔馬が欲しいのか分からなかった。その答えは総代が教えてくれた。甲賀忍者について話をしだし、本家の血筋を手に入れたいということだった。元々、甲賀は地名で、皆が皆、当て字を使っているとの事だった。「本家の家系図は本家代々しか持っていないので手元にはないが、彼が欲しいんだ。友人、いや親友の君になら話をしてくれると思うが、手を組まない...

  • 2022/01/31 21:39
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #8

    怪しい雰囲気を身に纏っている女性が翔馬の頬に手を触れている。 「お前の女かと思っていたのだけど違うのか。なら良かった。」翔馬は固まっている。こんな風に女性と触れあった事はないのだろうなと簡単に分かる感じだ。なので助け船を出してやる。 「何が良かったって?」 「お前には関係ない。この男は貰う。」 「こいつは俺の」 「友人は黙っていろ。」 「友人ではなく親友だ!」 「同じだ。」 「このアマ」翔馬は俺の...

  • 2022/01/28 21:39
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #7

    その紙切れを渡され、単身で乗り込もうとしているのは翔馬の兄の体育バカ。 「なんで……」 「ん? おー、腰巾着じゃないか。久しぶりだなあ。」 「なんで、あんたが……」 「自分の妻を助けるのは当然だろう」 「妻って……。ええっ!」単身で乗り込むにはバカにも程がある。そう言ってやると、考え込んでしまった。結局、3人で乗り込んだ。 「1人でと言ったはずだがな。」 「ああ、もちろん1人だ。」 「どう見ても3人だな...

  • 2022/01/26 21:42
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #6

    翔馬、俺は高校生の頃から狙っていた。あの体育バカと双子だと知って軽くショックを受けたものだ。本が好きで図書委員を3年間やり、司書の資格を取ったほどの奴だ。そのせいか博識で知識があり真面目だけど、どこか抜けているところがあり憎めない。どちらかというと、片割れである兄貴の方が女子にモテていた。そんな翔馬に女が近寄ってきたのは大学生の時だった。翔馬とは大学は違うが、同じアパートに住んでいて部屋は隣同士だ...

  • 2022/01/22 11:46
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #4

    部屋の中をぐるりと見回す。自分が持ってきた物は、この家系図だけで他はここに来て買った物だ。なくても大丈夫なので未練も悔いもない。でも、この家系図も必要ない。頭の中に入れたので跡形もなく消そう。兄貴、ごめんね。そう思っていると、部屋の中が薄暗くなってきているのに気がついた。急いで電気を灯し食事を作る。今夜は何にしようかな。皆で食べる食堂はあるが、俺は自室で作って食べている。個室連中は食堂を利用しない...

  • 2022/01/17 21:25
    甲賀忍者 双子の縁(えにし) #2

    パソコンの画面越しに話していた。 「無事に逃げられて良かったね。」 「翔馬のお陰さ。」 「こういう事しかできないから……」 「そういう顔をするんじゃないの。お兄ちゃんを信じなさい。」 「もちろん信じてるよ。だから逃げて、逃げまくって捕まらないでね。」 「おう。それじゃ、またな。」 「うん。」プツンと切れたディスプレイに向かって独り言を言っていた。 「兄貴、和志君、拓真君、雄飛君。皆、元気で生きてくれ...

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