【ファンタジー小説】encounter 第11話 ※全文掲載

【ファンタジー小説】encounter 第11話 ※全文掲載

捕まらないように必死で走っていて、気がついていなかった。あたりを見渡したが、人影もなく静まりかえっていた。恐る恐る通路の角から様子を窺うが状況は変わらず、物音もしない。多分、ガトーが引きつけてくれたものだろうと考えた。私は何よりも元の世界に帰れる道を探すことにした。せっかくガトーが作ってくれた機会、無駄にするわけにはいかない。追っ手が来ないことを警戒しながら、地下への階段を降りていった。相変わらず石壁が続いていたが、ところどころ水が浸みだして湿っぽくなっていた。薄暗い通路を抜けると、古びた扉があった。ふと振り返ってみたが、依然として誰も追ってくる様子はない。慎重にドアノブに手を掛けて回してみたが、錆び付いておらず動いたが、途中までしか回らなかった。「鍵がかかっている……。どうしよう」扉は上下に隙間が空いており、...【ファンタジー小説】encounter第11話※全文掲載