【ファンタジー小説】encounter 第10話 ※全文掲載

【ファンタジー小説】encounter 第10話 ※全文掲載

気付けば朝になっていた。私はガトーの手を握ったまま寝てしまっていた。当のガトーは既に起きてしまっていたのか、一緒に寝ていたベッドにはいなかった。やや眠い体を起こし、ベッドから降りて一階へ向かってみた。いつも通り、ほかの家族は朝食を済ませて仕事に就いていた。私は身支度を済ませると、ダイニングテーブルの席に着く。「おはよ」普段と変わらないガトーが、フライパンを器用に操り、二人分の食事を作っていた。「うん。おはよぅ……」まだ眠い私の前に、パンと目玉焼きを置いてくれた。気まずさはなかったが、あまり会話はせずに、淡々と食事を済ませた。ただ私は、多分ガトーの手料理を食べるのは恐らく最後と、しみじみ噛みしめながら食べていた。ガトーが食器を洗っている間に、二階へ戻り荷物をまとめていた。弟さんの部屋は、相変わらず鍵をかけたままに...【ファンタジー小説】encounter第10話※全文掲載