【ファンタジー小説】encounter 第12話(最終話) ※全文掲載

【ファンタジー小説】encounter 第12話(最終話) ※全文掲載

私は、辺りを警戒しながら前に進んだ。角に来ると、ゆっくり覗き込んで人が来ないか確認した。誰も来ないとみると、足音をできるだけ立てないように、走り抜けた。すると、それらしき場所にたどり着いた。どうも人がいる気配がなかった。私は、ゆっくりと奥の場所に近づいた。「なんで、探しに来たんだ!帰り道はどうした?」牢屋越しにガトーが怒鳴ってきた。「大丈夫!帰り道への鍵も見つけて入れた」私は、拾った鍵をガトーに見せた。「せっかく、リリーを帰らせるために、囮になってやったのに……」牢屋の床も、壁と同じ石材。その床の上であぐらをかき、呆れた様子で私を見ていた。「私ね……」一瞬迷いが出て、言葉に詰まった。けど、思い切って言うことにした。「私、ガトーのことが好きなんだと思う」ガトーがなんてリアクションするか、怖くてガトーの方を見られな...【ファンタジー小説】encounter第12話(最終話)※全文掲載