大人のためのBL、ML

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大人のためのBL、MLの記事

101件〜150件

  • with、◆ファーストバイト(6)
    2019/06/13 07:09
    with、◆ファーストバイト(6)

     っていうのは置いといて。 手伝いレベルから脱した当初の俺は、単にハルタさんの邪魔をしてるだけだった。俺がいない方がきっとずっと作業は早くてラクなんだろうなって、実感としてそれが判った。 ハルタさんは俺を邪魔扱いしたりは全然しなかったけど、だから余計に身にしみた。 一日でも早くこんな状態を脱したくて、どうすればいいのか俺なりに考えた。 その結果トライしたことが正しかったのかどうかは判らない。けど、...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • with、◆ファーストバイト(5)
    2019/06/13 07:09
    with、◆ファーストバイト(5)

     さらっと聞き流してしまいそうになるけど、これって大変なことだと俺は思う。 うちの店の客層、売れ筋、個人営業だからこそできること。そういうのをハルタさんは常に考えてるってことだから。 けど、そういえば料理そのものについてもハルタさんはそうだ。理詰めっていうか、理論先行っていうか。 ハルタさんにとって料理は「実験みたいなもの」なんだって。そういうとこも俺は好きだ。 随分脱線しちゃった。話を元に戻そう...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (52) カミング part 3?
    2019/06/12 09:28
    好きになったのは年上で意地悪な人 (52) カミング part 3?

     常務の部屋の片付けをしようとしている岡崎の腕を掴み引き寄せる。  「え、どうかされました?」  その表情と声に爆発していた。 言ってはいけないことを利根川は言っていた。  「お前、俺に抱かれるたびにイイ声だすくせに」  「は……、何を言って」  「夕べだってそうだ。俺とのエッチの相性はいいのだから」  「やめろってんだろ」  「だから、もっとイイ気持ちに」  「やめろー」   「今夜もイイ気持ちに...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (51) 性描写あります。抵抗ある方はスルーしてください。
    2019/06/11 09:08
    好きになったのは年上で意地悪な人 (51) 性描写あります。抵抗ある方はスルーしてください。

     翌日の仕事納めの日、俺はいつもより早めに会社に行き4階のシャワーを使い、会社に置いていたスーツに着替える。 昨日と同じ服装だなんて冗談じゃない。 あの野郎、絶対に許さないからな。  モーニング会議は30分もしないうちに終わった。 食べ終わると、真っ先に会議室から出たほどだ。  「昨日はどこに泊まったんだ?」  声を掛けられるが無視していたら肩に手を掛けられ振り向かせられた。  「おい、昨日は」  ...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆ファーストバイト(4)
    2019/06/11 06:43
    with、◆ファーストバイト(4)

     店としてはむしろ、これが目標なんだ。 このくらいのタイミングで値札を引っ繰り返してソールドにする。あるいは、明日のメニューに使い回せるくらいの仕込み段階で止める。っていうのが。 実際、ハルタさんはそうなるようにいつも調整して作ってる。季節とか気温とか、そういう要因も考慮した上で。 そういうのを俺は、調理場に立つようになってから初めて知った。 そりゃあ今までだって、売れ残りが賄いに回ってきたり、堀...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (50) ソフトな描写?有ります
    2019/06/10 09:12
    好きになったのは年上で意地悪な人 (50) ソフトな描写?有ります

     毎日が充実していた。 休みはないが、それでも土日祝祭日は夕方からバイトなので午前中はゆっくりしていた。  会社では山岡君を捕まえようとしていたのだけど、あちらは副社長秘書なので会う機会がない。  バイト先では翌週の28日から冬季休みになるので、26日に本採用の返事をもらった。  「それじゃ、来年の3月末日までは土日祝祭日で。4月からは何曜日がいい?」  新一さんが口を挟んでくる。  「木曜はバイオリン...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆ファーストバイト(3)
    2019/06/10 05:42
    with、◆ファーストバイト(3)

     さて、ここで『もう一品』の基本情報をおさらいしてみると。 開店時間は十時半。だからハルタさんは五時半には起きて、仕込みを始めてる。 とはいえハルタさんは寝起きが悪いから、最初はぼーっとしてる。でもそれは受け答えだけで、手はきっちり動いてるのがすごい。 もちろん俺も同じ時間に起きて、ハルタさんと一緒に調理場に立つ。それでハルタさんが安心してぼーっとしていられるよう、気合いを入れて働く。 そして、開...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (49) 
    2019/06/09 09:09
    好きになったのは年上で意地悪な人 (49) 

     翌日の日曜も17時前に行くと、いきなり声を掛けられた。  「初めまして、田辺です。今日は優介君が来るまでにレジに慣れてもらうからね」  「岡崎です。よろしくお願いします」  田辺さんからレジを教えてもらう。 元々、企業の専務をしていて、ここには週に2日バイトできてるんだと教えてくれた。 あっちのバイク屋も手伝ってるそうで、忙しくて大変ですねと返すと、別にと言ってくれる。  そう、そんな事も言えるよ...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆ファーストバイト(2)
    2019/06/09 06:21
    with、◆ファーストバイト(2)

     話を調理師試験に戻すと。 これぞ俺のバカさ加減の証明でもあるんだけど、何となく思い込んでたんだ。総菜屋さんで働くイコール実務経験、って。仕事の内容のことなんか、考えも及ばなかった。  一年前の三月初日。俺は高校の卒業式の後、そのまま家出してこの街に来た。そしてハルタさんに拾われた。住み込みのバイトっていう名目で。 その頃から確かに、漠然と考えてはいた。将来的には調理師免許を取りたい、って。受験資...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (48) 初体験
    2019/06/08 09:40
    好きになったのは年上で意地悪な人 (48) 初体験

     こういうサービス業というか接客業は初めてだ。 優介は20時にならないと来れないので、それまでの3時間は内勤をしていた。  収支の打ち込み、チラシ作り、POP作りなどが、それだ。 収支の打ち込みなら大丈夫だが、チラシやPOP作りは初めてだ。 クリスマスのデザイン絵を描くように言われた。 19時前には休憩に入り夕食を食べる。 だけど、このデザインというかイラストは苦手な部類で、「絵力も見たいから一生懸命に描い...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆ファーストバイト(1)
    2019/06/08 06:38
    with、◆ファーストバイト(1)

     中学卒業以上の学歴と、飲食店調理場での二年以上の勤務経験。 アルバイトの場合は原則として週四日以上かつ一日六時間以上の勤務、そして「調理業務従事証明書」――職場の最高責任者による記入と実印の押印が必要――が要る。 って何の話かっていうと、調理師試験の話だ。それを受験するための要件。 ポイントは「飲食店調理場での勤務経験」って処。レジや接客の時間は、そこにはカウントされない。「うーん・・・ヒナタくんの場...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (47) カミングする
    2019/06/07 09:12
    好きになったのは年上で意地悪な人 (47) カミングする

     数十社という会社から、それぞれの代表として専務や常務を会社の顔としてのパーティーが年に1回開かれる。 我が社からは瀬戸常務だ。  瀬戸常務の発表が終わる。  「あー……、疲れた、緊張したあ」  「お疲れ様です」  「もう出席したくない」  「毎年、それ言われてますよね」  「そうだっけ?」   「重森君もお疲れ様」  「毎年あるのですね」  「大変なのは、この発表だけなんだけどね」  その言葉に瀬...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (46) 
    2019/06/06 09:15
    好きになったのは年上で意地悪な人 (46) 

     とてもいい気持ちのまま、週末まで過ごせそうだ。 そう思ったのに、金曜日の終業間近になって利根川専務に捕まってしまった。  「やっと捕まえた」  「なんですか? 送迎なんてしませんからね」  「私をなんだと思っているんだ。顔を見れば送迎しろとしか言わない奴だとでも思っているのか」  「違うのですか?」  そう返すとため息をつかれる。 あれ、違ったのか? と思っていたら、意外な言葉を口にしてきた。 ...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(13)
    2019/06/06 05:45
    with、◆がらくた(13)

     代わりにそう言い足すと、忍足はますます不愉快げに、眉間に皺を刻む。 しかし、肯定も否定もしなかったので、あー覚えてはいるんだなと佐上は一人頷いた。その訳知り顔が気に入らなかったらしく、忍足はじろりと佐上を睨む。「ていうか、少なくと俺に関しては逆効果。渉が欲しくて仕方なくなるだけ。ああそれとも、そういう俺をリクエスト?」 笑ってそう言ってやると、忍足はついにそっぽを向いてしまった。そんなわけあるか...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (45) カミングする
    2019/06/05 09:32
    好きになったのは年上で意地悪な人 (45) カミングする

     こっちだと言われ、手を引かれ着いたのは駐車場。 黒のボディに、紫のラインが入っている。  「あの……」  「ほら、動けよ」  「乗ってもいいのですか?」  「もちろん」   宮田常務の運転は安全運転で、シートも座り心地いい。 すぐ寝てしまいそうになるので我慢していた。  「研修はどうだった?」  「どの研修ですか?」  クスッと微笑んだ横顔が素敵だ。  「空手だけ?」  「はい、そうです」  「ど...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(12)
    2019/06/05 05:46
    with、◆がらくた(12)

     佐上の下で何度も達して、もうへなへなになっていた筈なのに。 忍足は攻守交代すると言い張ってきかなかった。なので、上下を入れ替えてもう一戦。 それで二人とも力尽きて、手足をもつれ合わせたまま殆ど失神するようにして眠った。 その翌日も、前夜同様甘い時間が流れた――かといえば。「取り消さないからな」 シャワーを浴びて身支度を済ませた忍足は、いつもに増してとりつく島がなくて、しかも不機嫌だった。突っ慳貪な...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (44) 
    2019/06/04 09:15
    好きになったのは年上で意地悪な人 (44) 

     でも、そこから出ることはなかった。 一人の客と目が合ったからだ。  「なん、で……」  誰かが背中にぶつかってきたみたいだ。  「ぶっ。とーるー、車は急に止まりません。鼻打った-」  「マジでお前の鼻が潰れたらサキ姉は飛んできて看病するだろうよ」  「そうなの? サキさん……、って、いや、違う」   「岡崎さん、まだ研修は終わってませんからね」  「はいはい」   「テツさん、お知り合いですか?」 ...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(11) ♥
    2019/06/04 06:50
    with、◆がらくた(11) ♥

     それからはスピードを上げ、同時に愛撫の濃度も上げて。 というよりも、否応なくそうなってしまって。「っあ、あ、ふ、っん、や、ひろや、そこっ、」「ここ?」「ちがぅ!」「知ってる。こっちだよね」「・・・あぁあっ!」 指と手のひらと唇と舌と歯と、それから欲望を漲らせた器官と。それら全てを使って愛おしむ。 自分と同じ器官が一揃い、愛する人にも備わっているということがとてつもない奇蹟に思える。 どこをどうすれ...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (43) 
    2019/06/03 08:58
    好きになったのは年上で意地悪な人 (43) 

     替えの湿布も持って行く。 他の人にしてもらうと痛いが自分でするとそうでもない。 時間は掛かるけど仕方ない。  お湯に浸かり顔にパシャパシャと湯を掛け湿布を剥がしやすくさせる。  「いていていていていていていて……」  やっと湿布を剥がすと、ため息が口をついてくる。  「ふー……」 手足を伸ばして肩まで浸かる。  「んー……、ああ、気持ちいい。次は1週間後だから、来週の土曜に通院か」  その時に気が付い...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(10) ♥
    2019/06/03 06:50
    with、◆がらくた(10) ♥

     やはり顔を背けたまま、忍足はこくこくと頷いた。それから急に視線を上げ、険のある目つきで佐上を睨み上げてくる。「だから訓練しようと思ったんだ! こんなじゃダメだと思って! それにおまえだって、一人になりたい時くらいあるだろ!? そういうのも受け入れなきゃって、」「・・・あんたね」 忍足なりに危機感を抱いて、どうすればいいのかを一人で悶々と考えてその挙げ句のことなのだろう。 それが判っていて、判っている...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (42) 
    2019/06/02 09:17
    好きになったのは年上で意地悪な人 (42) 

     昨日していたお陰で、身体は動いてくれた。 ラジオ体操と屈伸のアップ時間10分後に、前半の部を40分。 休憩をはさみ後半の部も40分。 ダウンで20分。  道場でしているよりも1時間短いが、運動不足の皆にはきついみたいだ。 それでも黒帯連中は、なんとか立っている。 最後のダウンではくたばっていたけど、空手は初めてだったのだろう。   一人一人に「お疲れ様」と声を掛け、足裏のツボを押さえてやる。  「あー、...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(9) ♥
    2019/06/02 07:44
    with、◆がらくた(9) ♥

    「おまえがっ、」「ん?」 不意に切羽詰まった声音を上げられ、佐上は顔を上げた。両手の指先はまだ、忍足の胸板の上に置いたままだ。正確には、つんと屹ち上がった尖りの周囲で小さく淡く色づく縁に。「俺、何か悪いことした?」「違っ・・・そ、じゃなくて」 いやだから可愛すぎるから。そう言いたいのをこらえ、佐上は忍足の言葉を待つ。指だけをゆるゆるとまるく動かして、愉悦とともに引き出そうとする。 この分だと相当とん...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (41) 
    2019/06/01 09:11
    好きになったのは年上で意地悪な人 (41) 

     8時半の集合だが、8時前に着くように行くと峰岸はすでに来ていた。  「早いな。DVDを受け取りに行ってくれてありがとう」  「岡崎。お前たるんどるぞ。何を考えている」  「悪かった」  「今回は皆に振っていて正解だったな。やっぱりお前に企画は無理だな」  その言葉に何も言い返せない。 しかも思い出したのが昨日だったから、なおさら言い返せないでいた。 そんな俺を睨みながら峰岸は言ってくる。  「こん...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(8) ♥
    2019/06/01 06:30
    with、◆がらくた(8) ♥

     タクシーに揺られていた時は、乱暴にむさぼらないと気が済まないと思っていたのに。 実際にベッドにもつれこんでからは、自分でも可笑しくなるくらいスローな動作で、佐上は忍足に触れていった。 求めてくる舌先をいなして、ついばむようなキスを繰り返す。唇、額、瞼、耳朶、こめかみ、そしてまた唇。「んっ・・・や、はやく、」 焦れて波打つ身体をなだめながら、佐上は忍足の鼻先に自分のそれを擦りつけた。猫の挨拶。「俺が...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (40) 
    2019/05/30 09:19
    好きになったのは年上で意地悪な人 (40) 

     道場から帰ってくると峰岸からメールが着ていた。  ”DVDを受け取りに言った”  その一言だけだっだ。 なにか怒られている感がするのだが気のせいかなと思い、”悪い、ありがとう”と返す。  そして、プライベートのスマホを手にする。 チカチカとなっている。 誰からなのだろうと思い開くと、宮田常務からだ。 そういえば、この間、教えたんだ。 この間……。  ポンッと頭の中で、この間のことを思い出していた。  「...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(6)
    2019/05/30 07:09
    with、◆がらくた(6)

     程々の時間をかけてグラスをカラにすると、佐上は立ち上がった。ご馳走様、と渚に声をかけると、こちらこそと返された。「次は二人で来てよ。ていうかさ佐上ちゃん、言われるがままに一人で来てないで、強引にでもエスコートしてきてあげなさいよ。ああいうことを言う子を一人きりにしてちゃダメよ」 あ、猫ちゃんもいるなら一人きりってわけじゃないのかしら。などと言っている渚を急かして、会計を済ませる。 ごつくて重い木...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (39) 
    2019/05/29 09:20
    好きになったのは年上で意地悪な人 (39) 

     翌週は16時に早退して病院に行っていたのだけど、誰にも捕まらなかった。 峰岸からメールがきたぐうらいだ。 それに、仕事用として配布されたスマホの着信履歴には利根川専務の名前がずらっと並んでいる。 メールのほうも利根川がほとんどで、他は峰岸。 思いが声に出ていた。  「そうだよな。俺なんか居ても居なくても会社は回る。重森君もいるし……。 峰岸とは違う。ただ勤務期間が長いだけのベテランでもなくヤリ手秘書...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(5)
    2019/05/29 07:09
    with、◆がらくた(5)

    「ていうか!」 渚の言葉を吟味する間もなく、大声を張り上げられて、佐上は軽く上体をひいた。すると渚はその分、前へと乗り出してくる。「忍足センセって、そんな可愛いヒトだったっけ?」「・・・可愛い人だよ。俺に対してだけね」 微笑して佐上がこう返すと、渚は大きく上体を退けてアハハと笑った。ご馳走様、という台詞とともに、さりげないい動作で灰皿を差し出されたが、それにはかぶりを振る。「煙草やめたんだ。もう一年...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (38) R18! 性描写あります。抵抗ある方はスルーしてください。
    2019/05/28 09:10
    好きになったのは年上で意地悪な人 (38) R18! 性描写あります。抵抗ある方はスルーしてください。

     3階の宮田常務の部屋へ入ると俺は言っていた。  「あの、俺は」  そんな俺の言葉を遮るように宮田常務は声を掛けてくる。  「私は、こんなに一人の人間と長く関わることはなかったんだ」  「どういう意味ですか?」  「義務感とか、そういった類いのことではない。この1週間、ずっと探していた」  「俺を?」  「そうだ。徹、君が好きだよ」  「常務……」  「二人で居るときは、どう呼ぶんだった?」  「あ...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(4)
    2019/05/28 05:58
    with、◆がらくた(4)

     何だろうなあ、と佐上自身も思う。そう思いつつも、取りあえず事実だけを口にする。「追い出されちゃったんだ。渉なりに、俺のこと考えてくれたみたいで」 佐上のパートナーである処の忍足渉の声が耳に蘇る。彼独特の、感情を交えない声音で、立て板に水の如くまくし立てられた。あれは絶対、あらかじめ考えて用意しておいた台詞だったんだとと思う。 ――俺は通勤時間中とか、付き合いで呑んだりとか、一人になる時間もあれば好...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (37) 
    2019/05/27 09:12
    好きになったのは年上で意地悪な人 (37) 

     常務は一口だけ飲むと、すぐに手を伸ばしてくる。  「早速で悪いが、包帯を剥がすよ」  「腫れは完全にひきました。あとはひび割れだけです」  「ひび割れって……」  「今日は1週間ぶりにお風呂につかったから、ひび割れはリアルですよ」  「そんなにも……」  「丁寧に剥がして張り直してくださいね」  「ああ」  包帯を巻き取り湿布だけになる。 湿布を剥がすときは、やはり誰がやっても痛い。  「いていてい...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(3)
    2019/05/27 06:54
    with、◆がらくた(3)

     この店は、忍足とまだセフレ関係だった頃によく出入りしていた。佐上が忍足に、付き合おうと初めて口にしたのもここだった。 それまでに既に、佐上も忍足もこの界隈では知れ渡っていた。職業年収外見全てハイスペックなのに中身は人でなしという、事実なだけに身も蓋もない評価を二人揃って受けていたのだ。 そういう者どうしがくっついたって時間の問題だというのが大方の意見で、渚も同様だった筈だ。佐上が忍足を口説いてい...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • with、◆がらくた(2)
    2019/05/26 09:16
    with、◆がらくた(2)

     実際、渚は黙っているとお洒落オーラが漂う、いわゆるいい男だ。 年齢は不詳だが、長身だし体躯は引き締まっているし――勿論趣味は筋トレ――、顔立ちも整っている。 髪型は割にころころ変えるタイプで、前に見た時は髪色をアッシュブラックにしてスパイラルパーマをかけていた。こういう洋犬いるよなと忍足が言っていたのを、佐上は覚えている。 ちなみに今はオレンジがかった茶髪、セミロングのワンレングスになっている。ざっ...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (36) 
    2019/05/26 09:11
    好きになったのは年上で意地悪な人 (36) 

     ピンポンピンポンピンポン……。  煩く鳴り響く呼び鈴に腹が立つ。  「あー、煩いっ」  ドアを開けると宮田常務が立っていた。  「今日は居た。よかった」  「え……、み、宮田常務」  ぎゅっと抱きしめられる。  「いい香りだな。風呂入っていたのか」  やばいよ、この人のが押しつけてきてるよ。  「着替えてきます」  「このままでいい」  そう言い、玄関先で抱きしめられキスされる。 うっとりとしてとろ...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • with、◆がらくた(1)
    2019/05/25 13:17
    with、◆がらくた(1)

     八段分の階段を降り、ごつくて重い木製のドアを開ける。 すると中から、間接照明の薄暗い光とごく絞った音量で流れるジャズの音色、それから幾種類もの煙草の香りが流れ出してきた。ついでに、響きのいいテノールの声音も。「あらーっ、佐上ちゃん!」 それら全てが醸し出す空気を、佐上は肺の底まで吸い込んだ。 懐かしい、と思った。「久しぶりじゃなーい、どしたの、一人? 忍足センセは?」 向かって正面に設置されたカ...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (35) 
    2019/05/25 09:19
    好きになったのは年上で意地悪な人 (35) 

     さてさて、1週間ぶりの会社だ。 しかも今日まで有給休暇なので会議が終わると帰れる。 いつも通りに会議の始まる20分前に会社に着くように行く。 常務室の扉をノックしながら声を掛ける。  「おはようございます」  「岡崎さん、調子はどうですか?」  「大丈夫ですよ。常務、来週は毎日通院するので16時上がりしたいのですが、よろしいでしょうか?」  その言葉に先に応じたのは重森君だ。  「毎日ですか?」  ...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (34) 
    2019/05/24 09:20
    好きになったのは年上で意地悪な人 (34) 

     いきなり声が聞こえてきた。  「今の人が恋人か」  「え……」  「とっても優しそうな人だね」  「な……」  後ろを振り返る。 師匠と優介が居た。  「い、いつから聞いて……」  「んー……、何を言っていたのか知らないけれど、とてもいい雰囲気だったから」  「違うから」  「徹って、渋い男性が好きなんだね」  「違うっ」  「どこが違うの?」  そう問う優介に応じたのは師匠。  「それ以上、不細工にな...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (33) 
    2019/05/23 09:15
    好きになったのは年上で意地悪な人 (33) 

     木曜の通院を終え、お父ちゃんと昼食を共に食べ、マンションまで送って貰った。 実家の道場は毎週木曜が休み。 それを利用して、サキ姉は朝から夕方までエステの一日コースに通っているので家にはいない。 軽トラの荷台には、この数日ででた家の廃棄物で持って行けと言われた物が積み上げられている。 俺は要る物だけでいいからと吟味して選んだものだ。  「へえ、こんな所に住んでいるのか」  「サキ姉には内緒にしてよ...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (31) 
    2019/05/21 09:17
    好きになったのは年上で意地悪な人 (31) 

     誰にも見つからずに帰れてラッキー。 そうそう、毎週木曜日はバイオリンを習っているんだよね。 師匠である新一さんは何か言ってくるかな。 俺の顔を見た途端、新一さんの動きが止まる。  「もしかして、夕べの最後の一発か……」  「いえ、違います」  「しかし」  「たんこぶです」  「なぜ、そんなところに……」  「バイオリンを弾くのに支障ないので大丈夫です」  「そう? ならいいが……」  雑念、邪念を追...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (30) 
    2019/05/20 09:22
    好きになったのは年上で意地悪な人 (30) 

    翌日、頭が重く感じて目が覚めてしまった。顔を洗って鏡を覗くと、おでこが赤く腫れ膨らんでいる。 「えー、なにこれ」 早い時間だけど、お店開いてるかな。師匠、こんな時間でも起きてるかな。そう思いシュークリーム屋へ向かう。チリンチリンッと鈴が鳴る。 「いらっしゃ……、と、とお、る?」 「師匠起きてる?」 「病院行った方がいいよ」 「何科に行った方がいいかな?」 「そんなの俺に聞かれても……」 優介はクルッと...

    福山ともゑ

    BL風味の小説

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (29) ソフトな性描写あります。
    2019/05/19 09:12
    好きになったのは年上で意地悪な人 (29) ソフトな性描写あります。

    身体が揺れる。なんだろうと思ったら地面が見える。 「え、なんで……」 「起きたか。なら自分で帰れるよな」この声は……、もしかして、俺は宮田常務に担がれているのか。うへぇ、相手は常務だよ。しかも一度ならず二度までも。すると急に目の前に顔が現れ、思わず見つめてしまった。 「何も返事がなかったが。起きて目も空いてるな」そう言うと、苦笑顔になった。 「……でもなさそうだな。おい、ちゃんと起きてるか?」 なんて言...

    福山ともゑ

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  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (28) 
    2019/05/18 09:34
    好きになったのは年上で意地悪な人 (28) 

    1時間もすると疲れた。体力ではなく、精神のほうだ。 「大変だ……」 「はははっ。誰かに教えるというのは本当に疲れるからねえ」 「新一さんは」 俺の言葉を遮るように新一さんは言ってくる。 「休憩時間だから体力を使ってみよう。一本、相手して」 「俺が?」 「他に誰がいる?」 「師匠」 「岡崎師匠?」 その言葉に人差し指で示される。 「いや、道場主の師匠です」 「悟とやると異種に持ち込むからなあ」 「嫌で...

    福山ともゑ

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  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (27) 
    2019/05/17 09:19
    好きになったのは年上で意地悪な人 (27) 

    ラジオ体操と屈伸、腕立て伏せをした後、本番に入る。 「足は軽く床に付け、腰から下の下半身を屈伸させながら拳を突き出します」こういう風に。と言って、手本を見せる。新一さんの声が聞こえてくる。 「それ言うなら、拳の作り方も必要だな」 「あ、そうか。それもそうだ」 「拳を作った後に、さっきの膝から下の屈伸付きで突き出す、だな」 「待ってください。メモります」 一人ずつ相手をしていく。優介には掠りもしなけ...

    福山ともゑ

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  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (26) 
    2019/05/16 09:19
    好きになったのは年上で意地悪な人 (26) 

     ドアの向こうから言い合いしてるのか、そんな感じの声が聞こえてきた。  「だから、私は体育系じゃないって言ってるだろ」  「だから、うってつけなんだよ」  「おい、悟」   ドアを開けた師匠は声を掛けてくる。  「もう一人連れて来たぞ」   そう言いながら、師匠は宮田常務を連れて入って来た。 思わず声が出ていた。  「げ……、怪我させたら俺の責任になる」  「怪我したら、そいつの運動神経が鈍いという...

    福山ともゑ

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  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (25) 
    2019/05/15 09:26
    好きになったのは年上で意地悪な人 (25) 

     めでたく六段に受かったので、師匠に11月にある会社の研修で自分が空手を教える事を話す。  「それなら、ギャラを貰え。2,000でもいいし、3,000でもいいから」  「どう教えればいいのでしょうか?」  「自分が教えて貰ってるように教えるのが一番だぞ」  「いやいや、皆は空手とは無関係な人達ですよ。そんな人に教えるなんて」   溜息吐ついて出てきた言葉はこれだった。  「仕方ないな。来週の水曜、師匠デビュー...

    福山ともゑ

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  • with、◆月へと伸びる梯子段(15)
    2019/05/15 06:54
    with、◆月へと伸びる梯子段(15)

    「わあ、これが噂の・・・! やってみたかったんですよ、ね、向井先生!」 月を目指して、初めて三人で梯子を組んだその夜からしばらくして。 司は向井に、学は長谷川に、それぞれが写真を添付して布教メールを送りまくった結果、向井と長谷川が土日一泊で大島家へ遊びに来る運びとなった。 目的はもちろん、月を掴まえるべく長く高く梯子を組むことである。「まあまあ皆さん、まずは腹ごしらえしましょう。といってもカレーで申...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (24) 
    2019/05/14 09:11
    好きになったのは年上で意地悪な人 (24) 

     スマホの液晶には優介の名前が出ていた。  「もしもし、どした?」  『あ、ちゃんと起きてた』  「もちろん起きてるよ」  『死んでないか気になって』  「ありがと。大丈夫だよ。今は昼飯食ってるから」  『それは良かった』  「もしかしてモーニングコールのつもりだったとか?」  『そうそう』  「起きてました」  『元気そうな声で良かったよ。それじゃ』  「ありがとな。優介も頑張れ」  『ありがと...

    福山ともゑ

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  • with、◆月へと伸びる梯子段(14)
    2019/05/14 07:12
    with、◆月へと伸びる梯子段(14)

     外箱を再び引っ繰り返して、表側に描かれたイラストを司は見つめた。「月まで届く梯子をかけていく・・・」 以前学に聞いた話が脳裏に浮かぶ。それはすぐさま、司の中でひとつの影絵となって浮かび上がる。 ランドセルを前に、背中には小さな息子を背負った男の影。その背中から空へと伸ばされる、小さなてのひら。 月へと向かって。「・・・いいですね、すごく」 声には自然に気持ちがこもり、笑みになってあふれた。 対する大島...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

  • 好きになったのは年上で意地悪な人 (23) 
    2019/05/13 09:17
    好きになったのは年上で意地悪な人 (23) 

     2人で朝食兼昼食を食べていた。 BGMはバイオリンの音色。 しかも、この楽曲ってオリジナルのだ。 ちょっと待ってよ、なんで自分の演奏を聴かないといけないんだ。 自分のは聴きたくないという思いで話し掛けていた。  「あの、常務は体育系ですか?」  「いや、私は文系だけど。どうして?」  「先程、お話で空手されてたと仰られてましたので」  「ああ、薫の事か。私はもっぱら応援する方」  「強い方なんです...

    福山ともゑ

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  • with、◆月へと伸びる梯子段(13)
    2019/05/13 07:13
    with、◆月へと伸びる梯子段(13)

     そう言うなり、大島はやおら身体を傾けて食卓の下へと手を伸ばした。そうして再び司に向き合った時には、二人の間にはひとつの箱が置かれていた。「・・・『月を掴まえろ』?」 箱に書かれた商品名は英文だったが、訳すとこうなる。パッケージも幻想的で、黄金色に染まった雲を突き抜けるようにして立った梯子とその上に乗って手を伸ばしている人物の背中、そしてその先に大きな三日月が、淡い水彩画のようなタッチで描かれていた...

    なか

    ただ好きだという、この気持ち。

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